「青大豆(あおだいず)」という単語を初めて聞いたという方も多いのではないでしょうか?
この記事では青大豆とはどんな豆なのかについて解説します。
青大豆は大豆の一種
青大豆(あおだいず)は「大豆」の一種です。
大豆は種の皮の色によって「黄大豆(きだいず)」「青大豆」「黒大豆」などに分類されます。
青大豆の味は甘くて爽やか!青大豆のきな粉も人気
青大豆の味の特徴は、一般的な黄大豆に比べて甘みが強いことです。
そのまま食べても甘いと感じますが、特に豆乳に加工すると独特の甘みが際立ちます。
アクが少なく、爽やかな青い風味がある点も人気です。
黄大豆に比べて脂質が低いので、後味もさっぱりしています。
また、普通の大豆と同様、青大豆も「きな粉」に加工できます。
青大豆のきな粉は「青きな粉」や「うぐいすきな粉」と呼ばれ、着色料を使わずにきれいな緑色を出せると人気です。
黄大豆のきな粉は香ばしさが強いのに対し、青きな粉はほんのり甘い香りがします。
これは、青大豆の甘みがもともと強いことに加え、きれいな緑色が出るよう強く焙煎しないため、香ばしさが少なく、甘い仕上がりになるのです。
副菜やおつまみにおすすめ!青大豆の栄養を解説
「青大豆(乾燥)」「黄大豆(乾燥)」「黒大豆(乾燥)」「和牛肉(ヒレ 赤肉 生)」100gあたりの主な栄養素は以下の通りです。
青大豆 | 黄大豆 | 黒大豆 | 牛肉(ヒレ) | |
エネルギー | 354kcal | 372kcal | 349kcal | 207kcal |
水分 | 12.5g | 12.4g | 12.7g | 64.6g |
たんぱく質 | 33.5g | 33.8g | 33.9g | 19.1g |
脂質 | 19.3g | 19.7g | 18.8g | 15.0g |
炭水化物 | 30.1g | 29.5g | 28.9g | 0.3g |
灰分 | 4.6g | 4.7g | 4.6g | 1.0g |
食塩相当量 | 0 | 0 | 0 | 0.1g |
(出典:日本食品標準成分表2020年版八訂)
牛肉(ヒレ)のタンパク質は約19gなので、大豆のタンパク質の多さが分かります。
青大豆は、鉄分がほうれん草の約3倍、食物繊維はレタスの約18倍も含まれており、他の野菜と比較しても栄養豊富といえます。
一般的な黄大豆と比較すると、やや脂質が少なく炭水化物が多い点が特徴です。
また、青大豆にはベータカロテンが黄大豆より多く含まれます。
ベータカロテンは体内でビタミンAに変わり、活性酸素を減らしてくれる栄養素です。
加えて、カルシウムが骨へ取り込まれるのを助けるビタミンKは黄大豆の2倍。
青大豆にはカルシウムも含まれるので、これらを同時に摂れるのは嬉しいですね。
他に黄大豆より多い栄養素として、糖質代謝を助けるビタミンB1、アルコールの分解に役立つナイアシン、たんぱく質の分解を助けるビタミンB6があります。
青大豆は、食事の副菜やおつまみにぴったりの食材なのです。
さらにミネラルでは、免疫細胞を活性化させる亜鉛、抗酸化作用の高いセレン、貧血予防に役立つモリブデンも黄大豆より豊富です。
青大豆の旬の時期や栽培方法は?
黄大豆と同様、青大豆も若いものを早く収穫し「枝豆」として食べることができます。
そのため、枝豆に適した時期と完熟豆の収穫期、2種類の「旬」があるといえるでしょう。
栽培地によって前後しますが、枝豆の収穫は9月下旬から10月上旬、完熟豆の収穫は10月下旬から11月上旬頃です。
栽培方法はおおむね6月頃に種を蒔き、土寄せや摘心を行いつつ、水や肥料をやりすぎないよう育てます。
連作障害への対策も必要です。
しかし、旬の時期でも青大豆が流通しない地域もあります。
青大豆はとても病気にかかりやすく、全滅することもあるため大々的な栽培が難しいのです。
全滅のリスクがあるため、青大豆の栽培を手がける農家も少ない状況です。
さらに、比較的高い位置に豆がつく黄大豆と違い、青大豆は地面の近くにも豆がつくので機械で収穫できません。
手刈りでの収穫になるため、非常に手間がかかります。
こういった理由で流通量が少ないので、青大豆はとても貴重な大豆なのです。
青大豆の有名な産地は?
「栽培が難しい」という理由から、青大豆の生産を大規模に行う県はあまりありません。
しかし、北海道や東北地方の一部では一定の生産量があります。
例えば、農林水産省による平成17年産青大豆の作付面積データでは、北海道が744ha、山形県が119haとなっており、新潟県の52haや、茨城県の6haなどを大きく引き離しています。
もう少し新しいデータを青大豆の品種ごとに見てみましょう。
平成28年産のデータを見ると、秋田県では「あきたみどり(46ha)」、宮城県では「きよみどり(16ha)」、長野県では「あやみどり(6ha)、奈良県では「あやみどり(2ha)」の栽培が行われています。
また平成29年産では、北海道の「音更大袖(628ha)」、「大袖の舞(125ha)」の栽培が行われています。
暑さや病気に弱い青大豆も、冷涼な気候なら育てやすいのかもしれません。
おかずにもスイーツにも!青大豆のおいしい食べ方
青大豆を使った伝統料理・郷土料理はたくさんあり、その多くが青大豆ならではの甘味や素朴な味を活かしたものです。
例えば東北地方や長野県で食べられている「ひたし豆」は、茹でた青大豆を出汁の利いた薄味のつゆに浸したもの。
おかずやおつまみ、お茶請けに食べられています。
ひたし豆と白胡麻などをご飯に混ぜ込むと、簡単に食べ応えのある混ぜご飯ができて便利です。
また、福島県などではひたし豆に数の子を混ぜた「豆数の子」をおせち料理として食べます。
「まめに暮らす」「子孫が繁栄する」という意味を込めた、おめでたい料理です。
クセの少ない青大豆はお菓子にも使われています。
例えば「豆しとぎ」は、青大豆と米粉で作る青森県や岩手県のご当地お菓子です。
青大豆を煮てつぶし、米粉と砂糖を混ぜて練り、成形して作ります。
メーカーによって青大豆のつぶし具合や食感に違いがあるので、食べ比べると楽しいです。
また、冒頭で紹介した「青きな粉」や「うぐいすきな粉」もいろいろなお菓子に使われます。
代表的なものは、鳥のウグイスを模した「うぐいす餅」です。
あんこを求肥で包み、青きな粉をまぶしたうぐいす餅は、きれいな緑色が春の訪れを感じさせます。
青きな粉は、黄大豆のきな粉と同じように料理やトッピングに使えます。
青大豆の生産量が多い東北地方では、お餅やお団子、わらび餅などに青きな粉を使うことが多く、青きな粉をまぶした団子が名物の地域もあります。
ぜひ、ご自宅でも和菓子やお餅、ヨーグルトなどに青きな粉を使ってみるのはいかがでしょうか。