「丹波黒豆」という単語は聞いたことあるけどイマイチよく分からない…。
この記事では丹波黒豆とはどんな豆なのかについて解説します。
丹波黒豆は大豆の一種
大豆は種の皮の色によって「黄大豆(きだいず)」「青大豆」「黒大豆」などがあります。
「丹波黒豆」は「黒大豆」の一種です。
関係性を図にすると次のようになります。
丹波黒豆の特徴
丹波黒豆の特徴は「4つ」あります。
- 粒の大きさは世界最大級
- 黒い皮には「アントシアニン」が含まれている
- 深いコクのある味とホクホクとした食感
- 栽培に手間がかかる
①粒の大きさは世界最大級
丹波黒豆は大豆としては世界最大級の粒の大きさと言われています。
当農園で採れた丹波黒豆の直径は「約1.1cm」。
当農園で栽培した青大豆、スーパーで購入した国産の黄大豆と比べると、丹波黒豆の粒がいかに大きいかが分かります。
②黒い皮には「アントシアニン」が含まれている
黒大豆の皮の黒色にはポリフェノール類の一種「アントシアニン」が含まれています。
ポリフェノール類には様々な病気の原因になると言われる活性酸素の働きを抑える「抗酸化作用」があり、老化予防や美容などに効果があると言われています。
また、黒大豆はアントシアニンによって紫外線などの有害な光から身を守っています。
アントシアニンを摂取することで視力低下や白内障、緑内障などを予防する効果があると言われています。
③深いコクのある味とホクホクとした食感
丹波黒豆を枝豆として食べると、ホクホクとした食感と深いコクがある味が楽しめます。
夏に収穫される枝豆よりも「豆の味が濃い」というのが私の個人的な印象です。
また、丹波黒豆は収穫時期によって味が変化します。
若い時はふさが緑色で豆の色は薄い紫色。
成熟が進むとふさの色が茶色くなり、豆の色が黒色に近づきます。
そして、皮の黒色に含まれる「アントシアニン」により渋味が増してきます。
少し渋味のある丹波黒豆もまたおいしいです。
④栽培に手間がかかる
丹波黒豆は「苦労豆」とも呼ばれており、作業の機械化が困難で栽培に手間がかかるとされています。
また、栽培期間の長短によって早生(わせ)、中生(なかて)、晩生(おくて、ばんせい)に分類され、丹波黒豆は栽培期間が最も長い「晩生」の品種です。
丹波黒豆の種は6月中旬に撒き、枝豆として収穫できるのは10月中旬です。
種まきから枝豆として収穫するまでの期間 | |
早生(わせ) | 約80~90日 |
中生(なかて) | 約90~110日 |
晩生(おくて) | 約120日 |
丹波黒豆は手作業が多く栽培期間も長いことから、栽培に手間がかかります。
丹波黒豆の食べ方は?.
兵庫県丹波地方発祥の丹波黒豆は、粒が丸くて大粒なのが特徴です。
昔は権力者に献上されていたほど「高級品」として扱われていました。
そんな丹波黒豆は、現在はさまざまな料理に使用されています。
丹波黒豆は「おせち料理」に欠かせない食材で、ツヤのある黒豆煮にすると絶品。
丹波黒豆を砂糖と醤油と一緒に煮込みます。
黒豆をゆっくり弱火で煮込むと、ふっくらとおいしく仕上がります。
炊飯器で手軽に作れる黒豆ごはんもおすすめです。
米ともち米をブレンドした中に、丹波黒豆と黒豆の戻し汁、酒、塩を加えて炊いたら完成します。
炊きあがったお米はおにぎりにして食べてもおいしいですし、酢を混ぜ合わせて黒豆寿司にして食べる方法もあります。
10月頃から2週間程度の期間で収穫される丹波の黒豆枝豆は、シンプルに茹でて食べるのがおすすめです。
また、丹波黒豆は「加工品」として販売されていることも少なくありません。
おせちの季節には、既に調理済みの黒豆煮がパックになって売られています。
黒豆や黒豆の煮汁には血液の流れを良くしたり、血圧を下げる働きがあります。
そのため、黒豆を使った「健康食品」が多く、毎日飲める丹波黒豆の煮汁や黒豆エキスのサプリなどの人気も高まっています。
おいしさをぎゅっと凝縮した黒豆茶も手に入ります。
さらに丹波黒豆は「スイーツ」との相性も良く、黒豆を使ったおかきやグラッセ、パウンドケーキといった幅広い商品が展開されています。
全国的に有名な丹波黒豆の加工品は、特別感のあるギフトを贈りたいときに最適です。
丹波黒豆の栄養価
丹波黒豆という品種別での栄養価は定かではありません。
しかし、「黒大豆」の栄養価については文部科学省が公開している「日本食品標準成分表」を見ると分かります。
可食部100gあたりの成分は次の通りです。
なお、黒大豆には黄大豆や青大豆には無い「ポリフェノール」が含まれています。
成分名 | ①国産:黒大豆(乾燥) | ②国産:黄大豆(乾燥) | ③国産:青大豆(乾燥) | ||||
廃棄率 | 0% | 0% | 0% | ||||
エネルギー | 349kcal | 372kcal | 354kcal | ||||
1,452kJ | 1,548kJ | 1,473kJ | |||||
水分 | 12.7g | 12.4g | 12.5g | ||||
たんぱく質 | アミノ酸組成によるたんぱく質 | 31.5g | 32.9g | 31.4g | |||
たんぱく質 | 33.9g | 33.8g | 33.5g | ||||
脂質 | 脂肪酸のトリアシルグリセロール当量 | 16.5g | 18.6g | 16.9g | |||
コレステロール | 微量 | 微量 | 微量 | ||||
脂質 | 18.8g | 19.7g | 19.3g | ||||
炭水化物 | 利用可能炭水化物 | 利用可能炭水化物(単糖当量) | 7.7g | 7.0g | 8.5g | ||
利用可能炭水化物(質量計) | 7.3g | 6.7g | 8.1g | ||||
差引き法による利用可能炭水化物 | 11.3g | 8.3g | 12.9g | ||||
食物繊維総量 | 20.6g | 21.5g | 20.1g | ||||
糖アルコール | 未測定 | 未測定 | 未測定 | ||||
炭水化物 | 28.9g | 29.5g | 30.1g | ||||
有機酸 | 1.6g | 1.7g | 1.6g | ||||
灰分 | 4.6g | 4.7g | 4.6g | ||||
無機質 | ナトリウム | 1mg | 1mg | 3mg | |||
カリウム | 1,800mg | 1,900mg | 1,700mg | ||||
カルシウム | 140mg | 180mg | 160mg | ||||
マグネシウム | 200mg | 220mg | 200mg | ||||
リン | 620mg | 490mg | 600mg | ||||
鉄 | 6.8mg | 6.8mg | 6.5mg | ||||
亜鉛 | 3.7mg | 3.1mg | 3.9mg | ||||
銅 | 0.96mg | 1.07mg | 0.96mg | ||||
マンガン | 2.24mg | 2.27mg | 2.11mg | ||||
ヨウ素 | 0μg | 0μg | 0μg | ||||
セレン | 3μg | 5μg | 9μg | ||||
クロム | 2μg | 3μg | 1μg | ||||
モリブデン | 570μg | 350μg | 450μg | ||||
ビタミン | ビタミンA | レチノール | 0μg | 0μg | 0μg | ||
α−カロテン | 1μg | 0μg | 1μg | ||||
β−カロテン | 24μg | 7μg | 8μg | ||||
β−クリプトキサンチン | 3μg | 1μg | 1μg | ||||
β−カロテン当量 | 26μg | 7μg | 9μg | ||||
レチノール活性当量 | 2μg | 1μg | 1μg | ||||
ビタミンD | 0μg | 0μg | 0μg | ||||
ビタミンE | α−トコフェロール | 3.1μg | 2.3mg | 2.3mg | |||
β−トコフェロール | 1.7mg | 0.9mg | 0.8mg | ||||
γ−トコフェロール | 14mg | 13mg | 12.0mg | ||||
δ−トコフェロール | 10mg | 8.6mg | 7mg | ||||
ビタミンK | 36mg | 18μg | 36μg | ||||
ビタミンB1 | 0.73mg | 0.71mg | 0.74mg | ||||
ビタミンB2 | 0.23mg | 0.26mg | 0.24mg | ||||
ナイアシン | 2.5mg | 2.0mg | 2.4mg | ||||
ナイアシン当量 | 11mg | 10mg | 11mg | ||||
ビタミンB6 | 0.5mg | 0.51mg | 0.55mg | ||||
ビタミンB12 | 0μg | 0μg | 0μg | ||||
葉酸 | 350μg | 260μg | 260μg | ||||
パントテン酸 | 0.98mg | 1.36mg | 0.83mg | ||||
ビオチン | 26μg | 28μg | 24μg | ||||
ビタミンC | 3mg | 3mg | 2mg | ||||
アルコール | 未測定 | 未測定 | 未測定 | ||||
食塩相当量 | 0g | 0g | 0g |
(出典:日本食品標準成分表2020年版八訂)
丹波黒豆の歴史
丹波黒豆の発祥はその名の通り「丹波篠山地方(兵庫県)」です。
「丹波黒」が兵庫県の奨励品種として命名されたのは昭和16年(1941年)ですが、丹波地方ではもっと古くから黒大豆が栽培されていました。
戦国時代に織田信長が広めた楽市楽座によってもたらされたという説があります。
江戸時代時には篠山藩主が黒大豆の味を絶賛、米の代わりに黒大豆を年貢として納めることを許可しました。
さらに黒大豆の栽培を奨励し江戸幕府に献上したと言われています。
明治時代には東京で行われた第3回内国勧業博覧会、京都で行われた第4回内国勧業博覧会で賞を受賞。
宮内庁が買い上げるほどの評判になりました。
昭和50年代になると、これまでお正月の煮豆として愛されてきた丹波黒豆が、枝豆として食べてもおいしいと注目されるようになりました。
昭和62年(1987年)には、人気グルメ漫画「美味しんぼ(おいしんぼ)」(原作:雁屋哲、作画:花咲アキラ)に「最高の枝豆」として登場。
枝豆としての丹波黒豆の人気が益々高まりました。
産地と栽培面積について
平成30年の「丹波黒」の栽培府県と栽培面積(枝豆を除く)は以下の通りです(丹波篠山市調べ)。
府県名 | 栽培面積(ha) | 構成比 |
兵庫県 | 1,326 | 43.5% |
岡山県 | 1,166 | 38.3% |
滋賀県 | 319 | 10.5% |
京都府 | 196 | 6.4% |
香川県 | 15 | 0.5% |
鳥取県 | 14 | 0.5% |
島根県 | 9 | 0.3% |
合計 | 3,045 | 100% |
当農園がある岡山県は全国第2位の栽培面積。
丹波黒豆は兵庫県、岡山県、滋賀県の3県で栽培面積全体の約92%を占めています。
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